第1部 封神計画発動(表紙:太公望)


第1回 封神の書 【WJ表紙、巻頭カラー】

記念すべき第1回。
それまで中国史なんかほとんど興味なかった菱が、この1話でコロッとイってしまったのは…さて、何の為せる技か。
この回、というかこの第1部は、ある意味菱にとっての「原点」なので、感想とかそーゆーんじゃないんですよ。

この回はとにかく、文字通り「始まり!」の一言。
師叔が動いたことにより、封神計画のスイッチが入り、それに呼応して地上で暮らす妲己や申公豹も動き出す…。
打神鞭の「大気を操る・風を起こす」力というのは、師叔自身を象徴していたのかも。
敵も味方も関係なく、人を動かす風を生み出していくような存在。
…なんて、今は、思いますね。


第2回 最初の封神

さて、早々と最初の封神者が出ました。
誰かといえばちんとう…もとい陳桐です。
この頃はまだ原作読んでなかったから全っ然変に思わなかったけど(それ以前に、原作の存在を知ったのがこの回の掲載されたWJでだった)、なんで藤崎先生は彼を最初の封神者に選んだのでしょ? しかもカマキリの妖怪仙人って。
原作では、陳桐って潼関の総兵で、まあザコっていやあザコだけど、それでも一度は飛虎さんに勝ってて、まるっきりザコでもないのだ。
はっ、まさか名前がいかにも「弱そう」だったから!?(笑)
…たぶん誰でも良かったんでしょうな。とりあえず、第2話の時点で既に、五関突破のエピソードを省略するつもりだったことがなんとなく判明。

この一戦は、師叔の「頭を狙う戦法」の予行演習だったんですね。
でも、危なっかしい。もしスープーも一緒に捕らえられてしまっていたら、一体どーするつもりだったんだろか?
ま、封神したし、火竜ヒョウ(金+票)もガメたし、結果オーライかな。


第3回 妲己ちゃん炮烙を造る 【パートカラー】

○炮烙○
妲己ちゃん、傾国の美女っぷり全開。
最初のパートカラー数Pは、妲己の独壇場ですわ。
紂王さまが、妲己に操られないでしゃべるの見るのって、初めてかも?
さて炮烙。
原作でもこういう刑具ですし、最初の犠牲者も梅伯で同じ。(というかこの人って「炮烙で焼き殺された人」のイメージしかない…)
ですが、歴史の記録に残っている「炮烙」は確か、これとはちょっと違うんですね。
それはいずれHPのどこかに書くので、置いといて、この回の本題に入りましょう!

○イワシ占い○
…ってソレが本題かいっ!(ツッコミ)
占い屋のエピソードは、原作とほぼ同じ。占い方はともかくとして。
でも、やはりここはフジリュー流。王貴人をさっさとトッ捕まえて「いざ禁城へ!」とはいきませんね。
イヤそれ以前に、いきなり硯で頭を割る!なんていう殺し方は、絵ヅラ的にもなんかマズそうだし…。
この回(+次回前半)からは、今後、王貴人が最後まで雑魚的扱いを受ける羽目になろうとは、想像もつかなかったわ(遠い目)。


第4回 石琵琶の妖怪

扉絵で気付く。師叔より王貴人の方が背ェ高いのっ!?

そういえば、まだこの時は原作読んでなかったので、これ読むまで、王貴人は蝶の妖怪仙人かと思ってた。
ほら、空飛ぶし、毒蛾の鱗粉(紫授羽衣)だし、耳もチョウチョみたいだしさ。

師叔も、竜巻発生させたりして頑張ってたけど、真っ向勝負じゃ全然話にならない。
二人の持ち合わせている力の差も大きいけど(あと体力も)、宝貝の相性も悪いんでしょう。打神鞭だけじゃ、結局傷一つ付けられなかったし。
でも戦いは力だけで決まるものじゃないもんね。むしろ、頭の使い様。
「紫授羽衣は熱に弱い」「王貴人が妲己の妹」と気付いてからの、師叔の策士っぷり…演技とは思えぬ。よくまあここまで。
騙し合いにかけては、王貴人は全く師叔に敵わないね!
彼以上の策士はいない、と思ったものですが…甘かった。(↓へ引いてみる。)


第5回 宮中孤軍

◇師叔・妲己、因縁の邂逅。
いやはや、まさか、妲己本人が城門まで出迎えに来るとは…。
最初に不意打ちをかまして師叔の「策士」たる自信を揺るがせ、宝貝をフル装備することにより強大な力を誇示、あえて「周囲はみんなあなたの敵」と思い知らせる…等々、妲己の「わらわはあなた以上の策士」という言葉が、決して嘘ではないことがジリジリ伝わってくるです。
目だけ狐バージョン…怖すぎ。
でも、師叔が琵琶を傷つけようとするのを必死に止めているその表情は、カワイイ。
それに対して師叔ってば、仮面にムチ(注・打神鞭)って…。火がローソクじゃなかっただけ、まだいいか(何を言うか)。

◇武成王・黄飛虎との出会い。
初めての味方。それにしても、「妲己を倒しに」なんて思いっきり言っちゃって、飛虎さんがホントに妲己の手下だったりしたらどうするつもりだったんでしょ。
多分、何かしら感じる所があったんだろうなあ。「妲己のテンプテーションにかかっていない」と思わせる何かが。
師叔と並んでいると、背格好だけなら、まるで親子のよーだ……師叔のが、かなり年上なのにのう。

スープー、今回言うことキッツイなー?
ズル賢いとか、春の過ぎたジジィとか。更に、妲己が後ろ向いてる隙に討てなどと…!


第6回 誘惑の術(テンプテーション)

宮廷音楽家ですか。
原作では、琵琶石(=王貴人)はさっさと紂王に献上してしまい、本人は司天監に任ぜられています。陰陽吉凶を司るという、いかにも道士っぽい役職。
ま、原作では、この時点で妲己を倒そうというつもりではなかったわけだし(おそらく情報収集が目的)、変に目を付けられないためにも、人質を取るような行動はよろしくない。
こっちでは「頭を狙う戦法」進行中ですから。妲己の弱みをそうそう簡単に手放すワケはないってか。
妲己が「してやられたっ」といった感じの汗をかくのって、ものすごく珍しくない?

今回とその次の回、師叔vs妲己の心理戦ですね。
一日目→でも妲己は余裕綽々。スープーで遊んでるし(おフロで)。
フロといえば、この効果音。「ズカポーン」って…分からないでもないが、なんかスゲェ…。
二日目→「ツキも欠けてきました」by申公豹。これは掛け言葉だよね? 多分。
「月」と「師叔の運のツキ」のことかなー。
朝見のときの妲己の微笑と、師叔のやつれ具合が対称的。

三日目。
妲己がようやく行動に出る。
師叔に自分の余裕と恐怖を植えつけ、あせらせ、悩ませ、恐れさせてからの。
朝日を背にしての登場ゆえ、師叔からは、妲己の表情すら見切れなかったんじゃないでしょうか?
でも、師叔も無為に動いていたわけじゃない。妲己が仕掛けてくるのを見越して、きっちり策を立てていたんですが…。

今見返していて疑問が。
師叔が禁城内で暮らしていた部屋、あれは入り口がいくつあるんだ?
ドアもあったりなかったり。


第7回 妲己ちゃん タイ(萬+虫)盆を造る

あー、字が出ない。今後多そうですね、こういうの。一応↑な形で元の漢字を示していきます、可能な限り。

師叔の紂王誘拐計画。
紂王さまの女好きを当てこんだ、このまま行けば完璧な計画、だったのかもしれない。
けど妲己の方が、やはり策士としてのレベルが遥かに高かったよーですね…。
というわけで、喜媚ちゃん登場。「ロリッ」って、これまたスゴイ効果音。
でも実は、コレは初登場じゃないですね。王貴人ともども、第1回から出てるんだよ。

スープーが妲己の霊獣に!? これは妲己、狙ってたんでしょうか。
スープーの目が怖い。感情がなく、本当に妲己に魅了されちゃってるんだ…。
自分の策を見事に打ち砕かれ、宝貝の力によるとはいえ唯一の仲間に裏切られた師叔の失意はいかがなものか。

タイ盆。殷王朝の悪事として「封神」で上げられているのは、炮烙・タイ盆・酒池肉林etcですが、その内の一つ。
でもタイ盆は、歴史上では存在してなかったような…うーん、記憶が曖昧。
妲己、なにも自分でツルハシ振るわなくても。輝く汗が美しい。楽しみの為には肉体労働も辞さないのね。
蛇の数が物凄い。原作によると、民は朝歌城内のみならず、遠くまで蛇を買いに行ったりもしたらしいけど、それにしてもこんなに毒蛇がいるなんて。ヘビプール…。

第7回にして、主人公処刑の危機。

 

その他、コミックス収録ページ

断崖絶壁今何処4(あとがき)
この巻だけ、妙な位置に(第7回の前)入ってます。
「原作どおり描いていいわけ?[フジリュー]」「ダメですね[担当シマ氏]
…ということです。
だから、菱も原作との比較はしてますが、「WJ版は原作とは違う」ってのはちゃんと念頭に置いているつもりです。

はしがき
第1回の巻頭カラー裏に当たる位置に。
すっごく勉強して描いていらっしゃるんですね。歴史ものを描くには、勉強は不可欠。
この巻を購入した当時は、中国史関連の本はほとんど見ていませんでしたが、気付けばフジリューの推している宮城谷昌光さんの作品にはまっている菱がいたりする…。
この封神での師叔の本名は、「呂望」だそうです。
しかしコレは、あとあと崩れていく(人物紹介とかで。)

 

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