長安異神伝・感想。2001-12-4

ちょっと前に読んで、書き留めておいたメモからの抜粋が元になってます。

最近、コレを書くために読み返してたんですが、そこで驚いたこと。
なんと70ページくらい、二郎さまの正体を読者に全くバラさないままでストーリー展開してたんですよ!!
まるまる2章分。
読者が「正体」を把握してることを承知の上で、わざとそういう書き方をして、楽しませてくれてるんだろーなぁ。
たとえ知らずに読んでも、その発覚の場面で「ええっ!? そーだったのっ!!?」とびっくりさせる効果は、最初のうちにバラしちゃうより遥かに絶大。
それにしても、こういう風に演出できるっていうこと自体に、菱は圧倒されてしまった…。
小説書きを趣味にしたい(昔は本当に書いてたけど、今は時間がなさ過ぎて…)人間としては、ねぇ?

二郎さまの翠心ラブvvっぷりが、なんかもう一途過ぎて、こっちが照れちゃうです。
実際のところ、二郎さまって結構(本気でか策略でかは分からないけど
(多分両方っぽい))妓楼に出入りしまくってたり、してるんだけど。それでも「ああ、翠心のことホントに好きなんだなあぁ」と感じさせるんだよね。
二郎さまが翠心にお花渡したりするトコなんか、すっごいかわいくって。二人とも。
翠心の容姿が綺麗だからとか、霊珠の化身だからとかじゃなくて、内面の、透き通るような美しさが好きなんだろうなー。

翠心は翠心で、自信家なのにどこか陰のある二郎さまがなんか放っておけない感じで、二郎さまが「翠心を守りたい」と思うのとは違う意味で「彼を守ってあげたい」んじゃないのかな?
そのこころの闇を広げないように。二郎さまが哀しくないように、淋しくないように。
「自分がいなくちゃ彼はダメなんだー」みたいな傲慢な気持ちじゃなくって、自分も彼の傍にいたいし、彼もそれを望んでくれているから。
そういう、いちばん素敵な恋愛だと思うわけです、菱は。
だって、究極の理想ですよ! お互いがお互いを必要とし、傍にいたいと感じるのは!

もしかして菱、「美少年」て言葉にめっちゃ弱いのかもしれない…! と気付かされたのが、その前に読んでた尾鮭さんの作品(美少年盛り沢山! どころじゃないのデス)ではなく、何故かこの作品。
この話の後半にちょろっと出てきた、太歳童子(=朔なんだけど)のあまりの可愛さにヤラレタ。
ついでに言っちゃうと、この話の黒幕、つまり北斗の仕掛け人も、13歳位の見目麗しい有髪の稚児(とりあえず、見かけは)だったんですね。
しかもこの2人の戦闘シーンがあるしっ。
美少年2人も出されて、ときめくな、って方が無理ですよおぅ。あうー。

…はっ!? 話が微妙に脱線しかけてるっ!! てゆーか人格変わってるっ!? いやむしろ素が出てしまったか!!?
で…え、えーとえーと(動揺)。
あっ、そうだ、その黒幕。隋末に生きた葉法全という道士…の尸解仙
(しかいせん)(…つまり、美少年の姿は魂の入れ物に過ぎず、本体はジイサマ道士。らしい)ということなんですが。
確かこの人って実在の人物で、でも活躍(?)した時代は、この物語の時代よりももっと後、唐の玄宗の頃だったような…?
何かの本に書いてあったんですが、それがどれだったのか分からない。ので菱の記憶のみで、裏付けがないけど。
話全体でも、その他の設定はかなり史実に沿ってるので、そこだけちょっと気になったりして。

史実、といえば魏徴さま。
「隋唐演義」を読んでいたお蔭か、現れた幽霊…いや怨霊?へのあざやかな諫言が、本当にカッコ良かったです。唐の高祖と、隋の煬帝が従兄弟同士だってーのは、知らなきゃ絶対気付けないもんなぁ。
あー、でももうかなり前なんだ、読んだの。
文庫化してたら買うんだけど。

とりあえず、この辺でしめます。
また、何か追加で書くかもしれない。

-追加(04.3.22)- 
田中芳樹 編約「隋唐演義」文庫版、出ましたよ〜。とりあえず、まだ1巻だけですが。
22歳(若っ)で道士姿の魏徴さまがご出演中。
隋建国あたりから唐・安史の乱あたりまでを網羅している作品だったと思うので、このあたりの歴史を楽しく学ぶにはオススメ。
 

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