乱紅の琵琶・感想。2002-6-30

前巻と同じパターンで、このページはお送りします。
読後にちょっと書き留めておいたメモを元に、脈絡なくしゃべっていきますので。

韋護くんについて少々。
今回の彼が「彼」だと思ってはイケナイ。
今回はちょっぴり悪役チックなんだけど、違うんですよ、次回から!! 慧瑛ちゃん(二郎さまの妹君)が出てきてからの方が、素の彼のような気がします。
さて。天界に関わる人物は、1巻から相当数が登場していますが、血筋も思考も典型的な天界人というのは韋護くんが初めて。ですよね? でも、その「典型的天界人」の中でも純粋な心を持った人だと思う。清らかで、曲がったことが許せなくて。
その純粋さゆえに、こうと思いこんでしまうと回りが見えなくなってしまうようなトコがあるんでしょう。
二郎さまが空や海や風の「青」ならば、韋護くんは何色にも染まらない「白」のイメージ。
あ、あくまで菱のイメージですので。

因みに翠心は「淡緑」「玉蘭花」のイメージ。で、崔巧雲は「真紅」「牡丹花」のイメージ。
翠心とまるっきりタイプ違いの女性ですが、彼女が今回の黒幕?…敵?…んー、なんか違うなぁ…結局のトコ恋敵、でしょうか。翠心の。
それで「人でもなく、妖でもないハンパモノ」という所は二郎さまと同じ。
なんだかどーも二郎さま、巧雲と一夜を共にしてしまったよーな雰囲気…ですけど…(困惑)。えーと、これは…きっと、韋護と霊玉の件で翠心と気持ちがちょっとすれ違ってしまったところに、丁度巧雲が入り込んでしまったんでしょーね。
好きとかそういうのじゃなくて、「自分と同じもの」を背負う者同士、ただ空虚な思いの行き場がなかったんだよね。だから、だよね?
だって、二郎さまはいつでも翠心のことを思うているのだから。

二郎さまと翠心は、なんと今回でやっと両想いなんですね!! びっくりです。
初めて会った時から互いに心ひかれているのは、お互いに分かっていたのにね。
翠心の「どうして私なの?」という不安は、すごくよく分かる。
神の身である二郎さまが、どうしてこんな地味な自分を選んだのか―不安に思っていてもとめどなく惹かれていく気持ちも、いつか彼が離れていってしまったら自分はきっと耐えられないと怯える気持ちも、菱は経験したこともないけれど、でも痛いほどに実感が伝わってくる。
いっそ、自分から離れていけたら楽なのに、そう思えば思うほどに、愛しい想いは募るばかり。
斐氏の言葉がズシリときた。「あの人のこと何か一つでも我慢できないことがあるならば、今きっぱりと忘れてしまいなさい。それが出来ないならば、どんなに不安でも、何があろうとも、あの人の光も闇も全てを受けとめて想い続ける勇気を持ちなさい」…と、こういった趣旨の言葉。
自分が泣いたり悲しんだり、傷ついたりすることを恐れているようでは、人を愛することなんて出来ない。
その勇気を持つことは、きっと想い人を忘れるのと同じ位、いやそれ以上に難しいはず。
翠心は、勇気を持つことを選んだ。
菱が翠心を「強い」と思うのは、こういう所。

さて、上のページで煽ってみた(笑)、「二郎さま-翠心-韋護三角関係疑惑」。
菱は最初に読んだ時、本気で疑ってたんだけど。確かに今読み返しても、そう思わせようとしてるような場面が多々見られるんだけど。
巧雲の館で、韋護くんが二郎さまにくってかかったシーンなんか、正にそう。
でもこれは違うよ、やっぱ。韋護くんが翠心に寄せる思いは、そういう恋愛感情とは次元が違うと思うのです。菱は。
翠心の二郎さまに対する、真っ直ぐで深く、あたたかな思いの大きさを知って、その純粋さに共感して二郎さまの元へと翠心を連れていったのに、当の二郎さまは他の女(巧雲)の膝枕。その二人の気持ちの距離(実際のトコはともかく表面上の。)を目の当たりにしてしまい、激しい怒りにかられて金剛杵を向けてしまった…こういうことなんじゃ、ないでしょうか?

あとこれはオマケ。
初代琵琶占いの五娘の住まいへ向かう二郎さま&朔を道案内した、羅漢という少年。この子の名を付けた「知り合いの坊さん」←…この人、もしかして玄奘三蔵法師じゃないですか??
「若い、えらく頭のいい人だったけど、何年か前から行方が知れなくなっちまってさ。なんでも、西に旅に出たって話だけど」(BY羅漢/p143)
で、この時代、唐・太宗の時代でしょう? そんな気がしてならないのです。

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